***Sugar Cat


 


 漫画やアニメで見る、屋根の上に猫がいるという光景が頭をよぎる。
小さい頃は「どうやって上っているの?」と母さんに訊いたりしていたけど。今ではそんな疑問よりも、どうすれば「屋根に上った猫」をつかまえる事ができるかという事にしか興味が無かった。
気高い猫は俺を見下ろし、「また来たのか。」とうんざりするに違いない。だけど俺はどうしてもその猫が欲しくて・・・どうも、堪らない。
 肌寒い秋の空を見上げ、青い空が少しも見えないことに気が落ちて、もう一度赤い屋根の家に目をやった。
「あ、孝太郎。」
「・・・。」
赤い屋根の家の前に、背の高い男が一人。予想通り、彼の目からは「またか・・・。」という呆れたキモチが伝わった。
眉間に皺を寄せた彼の様子に苦笑しながらも「おはよ。」と声を掛けてみるが、そんな俺には構わずスタスタと歩き始める彼は、うるさいとでも言うようにジロリと俺を睨むと、歩きしだした。
 中谷 孝太郎、彼が・・・猫である。見ているだけで・・・孝太郎のことを考えるだけで愛しさが増して堪らない。
本当に、本当に孝太郎は可愛いんだ。
「孝太郎、今日って体育あるよな?」
「あるんじゃね。」
「・・・。」
こ、これでも・・・俺は孝太郎が好きだ。
冷たい様だけど、最初の頃よりはマシ。最初の頃はずっと無視されていて・・・たまにしか話してくれなかった。(話してくれたと言っても声に出して頷くぐらいだけど。)
 この頃は俺が朝迎えに行くと、少し照れた表情を見せるようになったとか、質問すると無愛想だけど返事を返してくれるとか・・・小さな進歩。



*****



 「あ、泉田!今日の体育って何だっけ?」
「え、バスケじゃなかったっけ?中谷に訊かなかったの?」
「・・・そういうこと言わないでよ、思い出し凹みするじゃん。」
なんじゃそりゃ、と笑うのは親友の泉田。
泉田は女の子の恋人(別校)がいる俺の先生でもあるため、何だって泉田に話している。
現在教室の隅っこで2人会議中。
「てか、俺が思うに・・・中谷ってお前の事意外と好きなんじゃないの?」
「はぁー?んなわけねーベ。好きって言われたことないし〜。」
「・・・中谷が好きって言葉を口に出すと思ってるお前が間違ってる、うん。」
「・・・確かに。」
俺の先生である泉田は、孝太郎の理解者でもあるため・・・てかまぁ、分析上手なわけで。
俺よりも孝太郎のことを知っていて(ココらへん妬けるけど)参考にしたり作戦を立てたりする。
今の作戦は題して「こーちゃん告白大作戦!!」なんだけど・・・どうなんでしょうか?

あとちょっとでバレン・タインだから、俺の家に孝太郎を呼び出して「俺をあげる〜(ハートマークをたっぷり込める)」とか言ってチョコエッチする。
・・・・・・というのはまぁ、飽く迄も泉田の発想。
俺がそんな事考えるわけないしねー、ハハハ。

「あ!そういえばお前どっちすんの?」
「へ?」

そうそう、この頃この2人会議で話すのはいっつもエッチの位置。
タチか、ネコか。
『猫ってやっぱ孝太郎だし・・・孝太郎がネコなんじゃないの?』という意見を口にしてみた直後、泉田のSP☆チョップが俺の頭を直撃。
『何それ、お前の方が背ちっこい癖して突っ込むわけ?信じらんねー。』泉田は大きくため息を吐き、以後俺をネコにする為説得をしているのだ。

「なぁ、マジにお前が突っ込んでるイメージじゃないんだけど。」
「そんな真面目に突っ込むとか言わないでクダサイ。っていうか、だって孝太郎の方が可愛いじゃん!」
はぁ?と首を傾げてみせる泉田。
泉田は俺が「孝太郎・・・かわゆい。」と孝太郎への愛を口にすると「明らかに中谷はクール系だろ。」とツッこまれる。

孝太郎ってほら・・・背高いのにチョコレート好きだし・・・
猫だし・・・
かわいいし・・・

 
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