***Sugar Cat 4


 


 俺の頭はグルグル回りすぎて・・・とろとろと溶けだす様だった。

 ちゅう・・・される・・・・?

 途端コトリと俺の肩に頭を置き、俺のズボンを引っ張っていたはずの手も一緒に俺の背中に回っていた。
 この短時間に何があったのか、やっぱり俺は理解できずにいる。俺の勘違いかも知れないけど・・・俺は泉田にヤキモチを妬かれているのだろうか?よくわからない、泉田の気持ちも・・・孝太郎への想いも。
  考えるより先に、顔が赤くなっていくのが自分でもわかった。風がいつもより冷たく感じる。
 ドキドキと大きく鳴る俺の心臓は誰を想っているんだろう?さっきまでケラケラ笑っていた泉田は、何を考えているんだろう?
 風が、新しい世界を作り上げるような・・・そんな緩やかな風。キスされると勘違いしたものの、「実はそうするつもりだったのかも。」とおかしな期待が頭を過ぎる。
「なぁ、泉田?」
「・・・ん。」

―今日はイロイロあって、疲れた。
―俺も。
―てか、さっきチュウされると思ってビビッた。
―・・・しようと思ってたけど、ビビッてたから止めた。
―へぇ。
―うん。

 ぎこちない会話も、時間が経つごとに心地いいものになっていく。泉田がどうして俺にキスしようと思ったのか分からないけど。
 あ、分かったかも?泉田は俺を好きなんだ。そして俺も、それを知っていたんだ。俺は孝太郎が好きだけど・・・。
 そこまで推理した所で、泉田の大きな瞳が俺を見つめていた事がわかった。「なに考えてんだよ。」と笑う泉田は、少し切なげだった。きっと孝太郎の事を考えているのだろうと思っているんだと思う。
 泉田、お前は今何を考えているんだ?俺が考えてること、分かるか?お前は俺を悩ませているんだよ、泉田。
 人の気持ちが一つわかって初めて見える本音の数々。泉田はこんなにも俺を、愛しそうに見ていたんだ。
「泉田、俺・・・孝太郎に告白する。」
「あぁ。うん。」
「わかってたのかよ。」と俺が肩を押すと、「お前が俺の恋人になる事なら分かってた♪」と俺を茶化した。
 冗談なのか、本音なのかわからないことだらけだけど・・・とりあえず俺たちは家に帰ることにした。



*****


 家に着いてから、俺はボーッとしっぱなしだった。いつもフレンドリーで、一見格好いいはずの泉田に・・・あんな可愛い一面があるなんて思わなかった。下手すると孝太郎よりも可愛いなんて、思いそうだった。
 孝太郎と泉田の外見はタイプが違う。孝太郎は飽く迄も冷静沈着のブルータイプで、泉田は懐っこいオレンジタイプだ。だから俺は二人を比べようとも思わないし・・・比べようが無い。だけど、二人への想いがだんだんと重なってきたような気がする。俺ってちょっと変わってるのかな・・・二人が好き。
 泉田は兄弟みたいな好きだけど、たまに孝太郎と一緒に居る時みたいにドキドキする。といっても、ちゅうしたいとかエッチなこと考えたりっていうのは無い。そりゃ親友っていう意識の方が強いし、孝太郎の方が好きだからっていうのはあるかもしれない。
「孝太郎・・・。」
 俺の事好きかな・・・?嫌いではないよね、嫌いだったら学校一緒になんか行かないし。好きだったらいいな、俺のこと。
 あ、泉田どうしよう・・・てか彼女いるんじゃなかったのかよ、という話。
「はぁ〜・・・眠い。」
 気付けば夜12時をまわっていた。眠ることにする。



―夜が更けた。
 赤い屋根の下「あ、孝太郎。」といつもの儀式の用に声を掛けると「・・・おはよ。」という声が返ってきた。
「え!?」
「?」
いつも交わす言葉が少し変わっている。いつもなら、『あ、孝太郎』『・・・。』なのに。あ、言葉交わせてないや。
「お、おはよ。」
「うん、昨日ごめん。」
「ハイ。」
 いつもは無言で歩く道が、ぎこちない会話のお陰で賑やかになっているような気がする。孝太郎は無理している様子もなく、普段どおりといった感じで・・・俺ばかりが戸惑っていた。
 「お前って意外と喋れるんだな。」と孝太郎に言われた時には驚きでいっぱいだった。孝太郎の方が喋らないと思っていたからだ。

Back / Top / Next
 
inserted by FC2 system